こんにちは、マイコです。
ロイヤルバレエ団のレパートリー、フレデリック・アシュトンの『オンディーヌ』のDVDのレビューです。
来日公演でも上演されないし、ロンドンでもあまりされない??ので、DVDを購入しました。
今も活躍するダンサーが多数出演。
コールドバレエには、今プリンシパルやソリストのダンサーもちらほら。
セルゲイ・ポルーニンや亡きリアム・スカーレットの姿も・・ 泣
上演が少ないアシュトンの悲恋バレエ
サマリー
- フレデリック- アシュトンの3幕モノ、最後の作品
- 主演は、新国立の吉田都さんと(若い)エドワード- ワトソン
- リカルド- セルヴェラがとにかく素敵!
▽ 率直な感想を先に・・
- あまり上演されないのはわかる気がする。少し地味で暗い
- バレエあるあるの「男性が情けない」ストーリーなのですが、白鳥やジゼルと違うのは、オンディーヌがしっかりと裏切りに対する拒絶感を表すところ
- イギリスファンを魅了したという吉田都さんのステップ、やっぱり素晴らしい
- テクニックが充実したエドワード- ワトソンを観られるのは新鮮
- ティレニオを演じるリカルド- セルヴェラの怪しい魅力に参ってしまいました
- 水の精ということで独創的で神秘的な振り付けが印象的
作品の概要
水の精霊オンディーヌと人間の男性パレモンの悲恋
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:ハンス・ヴェルナー・ヘンゼ(ドイツ人作曲家)
初演:1958年
時間:約1:40
出演ダンサー
オンディーヌ:吉田都
パルモン:エドワード・ワトソン
ベルタ姫:ェネシア・ロサート
ティレニオ:リカルド・セルヴェラ
隠者:ギャリー・エイビス
その他
小林ひかる
セルゲイ・ポルーニン
リアム・スカーレット
ヘレン・クロフォード
など
作品のバックグラウンド
- アシュトンがマーゴット- フォンティーンのために振り付けたもの
- フォンティーンは、「私にとって完璧なキャラクターだった」と自伝に記す
- アシュトンの3幕バレエの最後の作品(4つある:ロミオとジュリエット/シンデレラ/シルヴィア)
- 2000年ミラノ公演は、アレッサンドラ- フェリとアダム- クーパーが主演
あらすじ
オンディーヌ:水の精。人間の世界に憧れている(吉田都)
パレモン:人間の騎士。婚約者あり(エドワード・ワトソン)
ベルタ姫:傲慢なパレモンの婚約者(エネシア・ロサート)
ティレニオ:地中海の王で、オンディーヌの伯父(リカルド・セルヴェラ)
騎士パレモンは、ベルタ姫を妻にと望んでいました。
ある日の狩りの後、彼は宝石のついたお守り捧げてベルタ姫に求愛しますが、ベルタ姫はそっけない傲慢な態度でパレモンを突き放します。(素直になれないだけで、本当は好き)
落ち込むパレモンですが、偶然水の精であるオンディーヌが現れます。
その美しさに魅了されたパレモン、オンディーヌに近づき二人は相思相愛へ。
結婚を約束しました。
しかし、地中海の王ティレニオは二人の結婚に反対。
理由は、人間の男はいつかオンディーヌを裏切る。
その場合、オンディーヌは自らパレモンを殺さなければならないからです。
厳しい水の世界の掟です。
反対を押し切って結婚した二人は、航海に出ます。
そして、その船にはパレモンを愛しているベルタ姫も乗り込みました。
そうとは知らないパレモンとオンディーヌ。
パレモンは、以前にベルタ姫へ捧げようとして拒否された宝石ついたお守りをオンディーヌへ愛のしるしとして渡しました。
それを見ていたベルタ姫が現れ、パレモンを非難。
オンディーヌは、ベルタ姫をかわいそうに思いお守りを渡しますが、地中海の王ティレニオが突如あらわれお守りを取り上げてしまいます。
オンディーヌは、お守りの代わりにと海から首飾りを取りだし、彼女に与えようとしますが、気味悪く感じたベルタ姫はそれを投げ捨ててしまいます。
気味悪く感じたのは、ベルタ姫だけではなく水夫たちも同じでした。
彼らは恐怖にかられ、オンディーヌを海へと突き落としてしまったのです。
それを見ていた、ティレニオはオンディーヌを救うために嵐を起こします。
その影響で船は転覆しましたが、パレモンとベルタ姫はなんとか助かりました。
オンディーヌが死んでしまったと思ったパレモン、さみしさに耐えられなくなりベルタ姫と結婚。
しかし、オンディーヌは水の世界へ戻っただけ。
パレモンの結婚は、裏切りを意味し、水の掟にふれてしまいました。
ふたたび現れたオンディーヌを見て、本当に愛していたのはオンディーヌだと気付くパレモン。
しかし、遅すぎました。
オンディーヌは、死の口づけにより彼の命を奪ったのです。
自らの手でパレモンに死を与えたオンディーヌ。
彼の亡骸を水の世界へ運び、いつまでも抱きしめていた、というストーリー。
各シーンのストーリーと見どころ
第一幕
シーン1:ベルタが住む城の外
狩りから戻ってきたパレモンは、ベルタ姫に宝石のついたお守りを贈りますが、ベルタ姫は受け取り拒否。
パレモンを放って友人たちどこかへいってしまいます。
一人にされたパレモンのところへ、水の精であるオンディーヌが登場し何かと戯れるように遊んでいます。
その姿にパレモンはすっかりに魅了され、オンディーヌに近づくパレモン。
最初こそびっくりして逃げ回っていたオンディーヌも警戒を解いていきます。
そしてオンディーヌがそっとパレモンの胸に手をあてた瞬間、オンディーヌは人間の鼓動に驚き森へ逃げてしまいました。(水の精には心臓がない)
パレモンはオンディーヌを追いかけ森へ向かいますが、それを見ていたベルタ姫もパレモンを追いかけ森へ
- エドワード- ワトソンの演技力はすでにここから。
- エドの滑らかでラインの美しいバレエは必見
- ベルタは、ポワント履いてない。オンディーヌとの対比かな
- 都さん登場の最初のステップ。軽やかに舞う姿は惚れ惚れ
- 小林ひかるさん、倉健太さんがコールドバレエに
シーン2:不思議な森
森まで追ってきたパレモンにオンディーヌは驚きますが、二人は仲を深めていきます。
不思議な森には、地中海の王ティレニオがいました。
すっかり惹かれあったオンディーヌとパレモンは結婚を望みますが、ティレニオは大反対。
パレモンが不誠実だった場合、オンディーヌは彼を殺さなければならないと警告します。
二人はティレニオの反対を押し切って、結婚するために隠者を探し出しました。
隠者により心を授けられたオンディーヌ、二人はついに結ばれます。
- 力強くもどこか怪しい雰囲気を漂わせるティレニオが素敵♡
- 圧倒的存在感と怪しさを魅せるティレニオ役のリカルド- セルヴェラに注目
- 水の精は男女のコールド。神秘的なフォーメーションは見どころひとつ
- 主役二人のPDDは、ユニークなリフト満載で難しそうだ
第二幕:港
パレモンとオンディーヌは結婚後、航海へ。
追ってきたベルタ姫も船長に賄賂を渡し船に乗り込みます。
デルタ姫は、パレモンの心を取り戻そうとしますが、二人の愛を割くことは叶いません。
パレモンが以前に自分に贈ろうとした宝石のついたお守りをオンディーヌに差し出すのを見て、パレモンを非難。
彼女を気の毒に思ったオンディーヌはベルタに宝石を渡しますが、突如海からティレニアが現れ、ベルタ姫からお守りを奪い去ってしまいました。
それを見ていたデルタ姫と船員は動揺してしまいます。
オンディーヌは、海からネックレスを取り出し、ベルタ姫にプレゼントしました。
しかし、ベルタは恐怖を感じネックレスを投げ捨てます。
同じく恐怖を感じた船員たちは、なんとオンディーヌを海へと落としてしまったのです。
ティレニアは、オンディーヌを救うに嵐を起こし、波の頂上に乗って彼女を海に連れ戻します。
嵐により船は転覆しますが、パレモンとベルタ姫は岩にしがみついて生き残ることができました。
- ストーリーはよく伝わるけど、もう少し改善しても良さそうな2幕
- 吉田都さんの感情変化の表し方が見事
- 平野亮一さん、リアム・スカーレットの姿も
第三幕:パレモンの城
助かったパレモンとベルタ姫救。
パレモンはオンディーヌが死んでしまったと嘆き悲しみ、さみしさからベルタ姫との結婚を決意します。
しかし、パレモンは、オンディーヌを忘れられず空想の中で彼女を思い出していました。
そんな中、結婚式のゲストが到着し、お祝いがついに始まります。
しかし、そこに地中海の王ティレニアが復讐すべく現れます。
そして、そこにはオンディーヌの姿も・・
オンディーヌを観た瞬間、パレモンは自分が唯一愛するのはオンディーヌであると確信。
しかし時すでに遅し、彼女は水の掟を破った彼を殺さなければいけません。
悲しい感情からの拒絶と愛が交差するパドドゥが繰り広げられ、最後にパレモンはオンディーヌに口づけを・・ 彼は息を引き取ります。
オンディーヌは彼の亡骸を海の世界へと運び、ずっと抱きしめていたそうです。
- 若き日のセルゲイ- ポルーニン。テクニック&個性- 華あります
- ヌニュスっぽいダンサーもいるんだけど- – 自信なしw
- 宴の踊り(余興というのかな)が見どころのひとつ
- 2幕間ではポニーテールにして快活なオンディーヌが一変、下ろした濡れ髪で雰囲気が全く違う
- 裏切られての拒絶なのか、殺さないといけない悲しみなのか、そんな雰囲気が伝わるPふたりのパドドゥ。
- 終わり方は割とあっさり
まとめ
- たぶん、上演少ないからDVDでご鑑賞を
- 都さん絶品ステップとワトソンの美しいラインは終始みどころです
- 天性の音楽性なのか、音と一体化した吉田都さん
- さすが演技派ぞろいなので、物語を見ているような気分になれます
- コールドバレエが神秘的でユニークなフォーメーションも見どころ
- ティレニオのリカルド・セルヴェラがすごく怪しくセクシーなのでぜひ!