【バレエの音の取り方・スタイル】ロシアとイギリスの違いとは

音楽

バレエと音楽は密接。

大人バレエを嗜む上でも、音楽に合わせようとする人は、よりバレエに見えるし、そうじゃない人は体操っぽくなります。(鑑賞好きは見て感じてしまう・・)

私はピアノとか音楽を専門的に習ったことはありませんが、音楽のとらえ方には興味が湧きます。

2022年4月に発売されたバレエ音楽がわかる本は、もちろん購入。その中で印象的だったのが、音の取り方です。

ロシアスタイルと英国スタイルの違い、みたいな話がでていました。

で、動画を調べてみたので比較したことをシェア^^

目次

バレエ音楽がわかる本

「バレエ音楽がわかる本」では、チャイコフスキーのバレエ音楽を中心に有名どころの作品の音楽が解説されています。

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それと、ダンサー視点の音楽、指揮者視点の音楽がわかるインタビューが充実。とても興味深いのです。

ダンサー

  • 上野水香さん(東京バレエ団)
  • 米沢唯さん(新国立劇場バレエ団)
  • 清瀧千晴さん(牧阿佐美バレエ団)
  • 日髙世菜さん(Kバレエ- カンパニー)
  • 池本祥真さん(東京バレエ団)

指揮者

  • 磯部省吾さん
  • 冨田実里さん(新国立劇場バレエ団)
  • 浜野考史さん(シアターオーケストラトーキョー)

ダンサーと指揮者が語ったスタイルの違い

本のなかで、ダンサーの池本さんと冨田さんが語っていたのが、ロシアスタイルと英国スタイルの違い。

池本さんはロシアで学んできたので、Kバレエ時代は音どりに苦労したそうです。

ロシアスタイル:音が後どり気味。優雅でダイナミックな印象
英国スタイル:音にはめる。ピシッとサクッと小気味よい

指揮者の富田さんも違いがあると言い、同じ作品であってもロシアスタイルか英国スタイルかなどスタイルの違いが音楽にも影響するそう。

作曲家の意図を尊重する指揮者、ダンサーとの話し合い

スタイルの違いだけではなくて、ダンサー個人でも音の取り方にはこだわりがあるそう。(それは観ていてなんとなくわかる)

けど、指揮者は音楽家として譲れない点があることをこの本で知ることに。

クラシック音楽は、作曲家の意図をとても大事にするそうで、ダンスに合わせて調整しすぎることに難色を示すこともあるようです。

「例えば私は 音楽家として作曲家が決めた曲順で演奏したい。でも振付家によっては変えたいという場合がある。そこは、お互いの目指す方向性を確認しつつ相談します。」(指揮者:冨田実里さん)

指揮者にもバレエ公演(音楽)に対するビジョンがあり、共演なんだなと改めて感じさせられました。

この対談、すごくおもしろいです!

ロシアスタイルと英国スタイルを動画で比べてみた

いろいろと興味関心を刺激される本でしたが、特に気になったロシアスタイルと英国スタイル、動画を探して比べてみました。

眠りの森の美女のローズアダージオでみる違い

小さい頃かバレエをしっかり習っている若い友人が、ローズアダージオを踊ることになったけど、音取りがロシアスタイルで難しい、と話してくれました。

音の取り方の違いが分かりやすいので、動画で見比べます。

ローズアダージオのヴァリエーション、最初のピケアラベスクの部分です。

アラベスクやアティチュードが一番高いところにどのタイミングで見るかチェック

ロシア版

「この音がポーズが決まる音かな?」の少し後にアラベスク・アティチュードの完成形がやってくる感じ。(わからなかったらロイヤル版と比べてね)

マリインスキー

ボリショイ

ロイヤル版

「この音がポーズが決まる音かな?」とおりの感じです。

都さんのタイミングはわかりやすいかも。

金子扶生のバージョン

観る方からしたらどっちでもいいの!という人もいるかもしれません^^;

でも、音の表現の仕方で全体の印象が変わるのだと思います。

ロシアの後どりは決して音から外れているわけではなく、余韻の音までダンサーが拾って、奥行きの深い音色が見えてきます。

ロイヤルの音ピタは、音との一体感が目にも楽しい。

アクセントもあり、また違う個性が表現されています。

同じ作品を何度でも、そしてさまざまなバレエ団で観たい!という欲求が搔き立てられる理由のひとつです。

白鳥の湖 パ・ド・トロワで全体の印象を見比べる

振付や踊り方が違うのはおいておいて、全体感の印象を感じてみてください。

ダイナミックで優雅さ マリインスキー

爽やかな優雅さのロイヤル版

ロシアのダイナミックで優雅な音

ロシアのダイナミックで優雅な音どりが印象的な作品をご紹介。

音と動きに注目して見てみてください。

ロパートキナのエトワール/パキータ

イギリスのパシッっと気持ちよくハマる音

イギリスの振付家アシュトンやマクミランは、足捌きの細かくて美しい作品をたくさん輩出しました。

音にピタッとはまる様が本当に心地よいです。

マリエネラ・ヌニュスのシルヴィア

音を感じるとレッスンが深くなる

音をリズムとだけ意識するのではなくて、音の表す世界を感じることができたらバレエはふかくなるのでは?と思うことがあります。

以前、センターのアダージオをしているときに先生がこんな注意をしていました。

「内村航平の着地じゃないんだから、シュワッチと終わらないっ!(なぜならアダージオ。優雅さがほしい)」

そしてアレグロ

「ここは決めにきて!全部流さないで!」

そして・・

「音を聞かないでリズムと思っているなら、太鼓にしますよっ」

太鼓はいやだ・・

バレエって踊りなんです。

音楽に合わせて体を動を動かすのではなく、音と作品を体で表現する。
だから音楽を聴こう、ではないかと思うのです。

以前に菅井円加さんのバーレッスンを目の前で見学したことがあります。

もうね、ドラマでしたよ、バーレッスン。

ひとつひとつの動きに意味がある、と思わせるバーレッスンでした。

小作品をたくさん見た気分になったくらいです。

まとめ

  • バレエ音楽の世界を知ると、ただでさえ沼なバレエがさらにハマります
  • ロシアの余韻ある音どり、ロイヤルの心地よい音どり、どちらもいい
  • 普段のレッスンで音の世界を意識できたら、きっとバレエが深くなる

気になった方は是非読んでくださいね!超オススメ。

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