期待していたのに「なんだか物足りない」と感じた公演はありませんか?
「残念だったな」「思っていたのと違う」「心が動かなかった」という気持ちになってしまうこと、きっと誰にでもあると思います。
理由はいろいろありますが、冷静に考えると、体調やバイアスが原因になっていることも少なくありません。
原因がわかると気持ちが楽になり、目の前の舞台を少しずつ楽しめるようになることもあります。
この記事では、公演を見て「失敗した!」と思ってしまう原因と、その対策を紹介します。
理由① 過去の感動フィルター
過去に観た忘れられない名舞台の記憶があると、それがフィルターになってつい比べてしまい、「今回の公演はイマイチ」と感じることがあります。
これは、過去美化バイアス(バラ色の回顧)と呼ばれるものです。

私自身も、感動が大きかった公演のあとに別の舞台を観て「あれ、ちょっと違う…」と感じたことが何度も^^;
友人からもこんな声をよく聞きます。



昔のパリ・オペラ座バレエは本当にすごかった。今回はちょっと薄味



前はもっとコールド(群舞)が揃っていたのに



数年前の◯◯バレエ団のほうがよかった
作品やダンサーによって舞台の雰囲気が変わるのは当然のこと。
でも、この「過去を美化してしまう傾向(バラ色の回顧)」が働いてしまっているかもしれません。
「自分も少しバイアスを持っているかも」と一歩引くだけで、少し客観的な気持ちになれますよ。



舞台を観る自分を、上から・横から・後ろからの3方向で眺めているイメージを持ってみてください。客観的な気持ちになりやすいですよ。
理由② 充実感と価格が釣り合わなかった
チケット代と満足感のギャップにがっかりした経験、ありますよね^^;
特に海外バレエ団の来日公演はチケット代が高く、期待値も自然と大きくなります。
でも実際には円安やインフレ、渡航費や滞在費などで公演コストがかさみ、内容とのバランスが難しいこともあるようですよ。
私自身もこんな経験がありました。
- 日本のお教室の発表会の方が上手なのでは?と思ってしまうレベル
- ガラ公演でミスが続いて残念
- お目当てのダンサーが直前で降板
もちろん日本のダンサーのレベルはとても高いですし、アマチュアの中にも驚くほど上手な人が多いですよね。
ただ、ダンサーも人間。調子が悪い日もあれば怪我を抱えていることもあります。
観客としては「残念」と思うこともあれば、「応援したい!」と思うことも。
推しのダンサーだと多少のミスも許せてしまう、なんてこともあります。
それでも生の舞台だからこそ、「心を鷲掴みにされた!」「笑顔が止まらなかった!」という体験ができるのも事実。
対策としては、
- 出演するダンサーについて少し調べておく
- 作品やバレエ団の特徴を知っておく
こうしておくと、楽しみ方の幅が広がる&期待値調整ができると思います。
理由③ 自分の体調が影響した
体調が整っていないと、感動センサーが働きにくくなったりします。
「仕事で疲れている」「風邪の治りかけ」「気持ちが落ちている」…
本格的な体調不良ではないけど、万全じゃないと集中できない経験、ないでしょうか?
私も平日の夜に観に行くと、集中できなかったり眠くなったりして、感動が薄れてしまうことがあります。
とはいえ、元気が残っている時や舞台があまりにも素晴らしい時は、心を持っていかれるのですが・・



キャストや公演日程、自分の予定で選ばざるを得ないから、悩ましいですよね。
対策としては、
- 無理のないスケジュールを立てる
- 「今日は体調が万全じゃないかも」と客観的に受け止める
- 直前までチケットを買わない
などがあります。
私も以前、夏に体調を崩して、チケットを2枚無駄にしてしまったことがあります。
それ以来、本当に観たい公演だけ前もって買い、それ以外は直前に購入するようにしています。



意外と直前でもチケットがとれるよね
理由④ SNSで期待が膨らみすぎた
InstagramやYouTubeは、バレエの魅力を伝えるのにぴったりなツールですよね。
短い動画で一瞬にして心を掴まれてしまいます。
ただ、SNSはプロモーションの場でもあります。
切り抜き動画は最高の瞬間だけを見せている可能性も・・
(私ですらUPする場合、いい写真を選んでしまいます)



ロイヤルのネラを初めてみたとき、動画や映画でのイメージが強すぎて、「思ったより静かな感じ?」と、持っていた印象と違ったこともあります。
映画の予告編を観てワクワクしたのに、本編で「あれ?」となるのと似ていますよね。
対策はシンプル。「SNSで全部はわからない」と割り切ることじゃないでしょうか。
「本物を観に行けるんだ!」くらいの気持ちで舞台に向かうと、かえって新鮮な感動を味わえると思います。
理由⑤ 熱狂的なファンからの感想を鵜呑みにした
SNSやブログで他の人の感想を調べることってありますよね。
特に熱心なファンのレビューは、熱量がすごくて「これは絶対に観なきゃ!」と気持ちを高ぶらせてくれます。
ただ、熱狂的なファンの言葉は、その人の“愛”が大きすぎて、実際よりも良く見えてしまうこともあります。
私も以前、友人が絶賛していたので、チケット購入して見入った舞台が・・
実際は「悪くはないけど、そこまでではないかな?」と思ったことがありました。



人の感覚は本当に十人十色だよね。良い悪いとかじゃなくて。
対策するなら、ひとりの人やその界隈の感想以外にも幅広く知ってみることだと思います。
逆も然り、酷評されていたけれど良かった経験もある
一方で、事前に読んだ感想があまり良くなくて「大丈夫かな?」と心配していたのに、実際に観たらとても感動した!ということもあります。



特に初めて見る演目やバレエ団だと、バラ色の回顧も先入観もありませんから
舞台は生き物。
何より、これまで紹介してきたように、「観る人起因」で印象が変わるんです。
だからこそ、他人の感想に左右されすぎず、自分自身で確かめるのが一番ですね。
まとめ:それでも「リアル」な舞台は観たほうがいい
ここまで「失敗したな」と思ってしまう理由をいくつか挙げてきましたが、それでも舞台鑑賞をやめるべきではないと思うんです。
「一生忘れられない公演」に出会えることもあるから。
そんな舞台は、何年も何年も心に残り、思い出すたびに幸せをくれます。
結局は“バイアス”になってしまうのかもしれませんが、あのときの感動を体験できたこと自体が、人生の宝物だと思いませんか?
思い出すだけで心が温かくなる舞台、心をぐいっと持っていかれて、まるごと舞台に引き込まれてしまうような体験は、やっぱり実際に足を運んでみないと味わえません。
今の時代、子どもも大人もスマホの世界にいる時間が長いですが、全身で感じ取るリアルって本当に大事だと思うんです。
スマホの中のお姫様で終わるよりも、劇場で本物の感動を味わえる方が、ずっと人生を豊かにしてくれるのではないでしょうか。



「感動」は、これからの人生の伏線になっていると思うんですよね

