バレエというと主役や準主役ともいうべきソリストが見どころだと思いますが、「コール・ド・バレエ」と呼ばれる、大勢のダンサーで奏でる踊りもバレエの大きな魅力です。
(バレエ団の階級で下のことを指す場合もありますが、今回は”踊り”の方の話)
このコール・ド・バレエを楽しみに観に行く作品もあるほど。
今回は、そんなコール・ド・バレエが素晴らしい作品を下記の3つの特徴で紹介します。
息の合った美しさに拍手喝采。全幕バレエの中のコール・ド・バレエ
全幕のクラシックバレエ作品の中には、コール・ド・バレエが見せ場がある作品があります。
主役はおらず、統率された美しさ、万華鏡のようにかわっていくフォーメーションなど大勢で奏でる美を観ることができます。
ジゼル 第二幕 ウィリー
ウィリーは精霊。第二幕ではこのウィリーのそろった踊りが見どころの一つ。
また、フォーメーションがよく変わります。
2階席以上だとフォーメーションの移り変わりがより楽しめます。
こちらは、パリ・オペラ座の映像ですが、日本のバレエ団(東京バレエ団や新国立バレエ団など)のコール・ド・バレエも絶品です♪
バヤデール 影の王国
第二幕の始まり、ミンクスの美しい音と共にひとりずつダンサーが現れます。
バレエの中でも最も美しいパだと言われるアラベスクを一番最初のダンサーは、約40回するとか。
ダンサーの数も24人か32人と壮大なコール・ド・バレエです。
こちらは、ロイヤルバレエ団の練習風景。
くるみ割り人形 雪の精
見どころは動きの速いコールドバレエ。細やかな踊りをしながら大きくフォーメーションが変わっていきます。
衣装や振り付けもバレエ団や振付家によってさまざまなのも特徴のひとつです。
ダンサーは、どのポジションでも踊れるようにしているんだろうなと思うとすごいですよね^^;
男女の美しいコール・ド・バレエ
コール・ド・バレエというと女性のダンサーの踊りを思い浮かべやすですが、男女で奏でる美しいコール・ド・バレエもぜひ注目してください。
単独ではできないリフトなどのパが踊りに含まれるようになり、より華やかなバレエを堪能できます。
男性がいないと成立しないこともあって、発表会などではお目にかかりにくいですね。
オネーギン 第一幕より
19世紀ロシアの田舎という場面での踊り。
後半の連続グラン・パ・ド・シャは圧巻です!
ロミオとジュリエット 騎士の踊り
重厚感あふれる音楽と共に始まる騎士の踊りは、マクミラン版ロミオとジュリエットの見どころのひとつ。
まるで絵画のような世界観に浸ることができます。
ライモンダ 第三幕
こちらは主役と一緒に踊りますが、主役ペアと同じ振りをコール・ド・バレエのペアも踊ることで独特の華やかさがあります。
(ゆえに主役の”存在感”が試されている作品な気がしています)
全体を通してコール・ド・バレエを堪能できる作品
これまで紹介してきたコール・ド・バレエは、全幕モノの一場面でありました。
ここでは、全体を通してコール・ド・バレエの素晴らしさを堪能できる作品を紹介します。
エチュード
ハラルド・ランダー振り付けの、その名の通りレッスン風景をモチーフにした作品。
テクニックの高さやシンプルなだけに目立つ基礎力など、バレエを習っているとより目が離せない作品だと思います。
コンチェルト
ケネス・マクミラン作品。
三部構成で、一部と三部がコールド+ソリスト、二部はパ・ド・ドゥです。
日本のバレエ団が上演したものを観たこと無いのですが(レパートリーもっているところあるかな?)、ぜひ見てみたいなと思います。
セレナーデ
チャイコフスキーの曲に振り付けたジョージ・バランシン作品。
東京バレエ団がレパートリーでもっていて上演しています。
パキータ
発表会でもおなじみのパキータ。
こちらのコールドは多彩で、アンサンブルやソロも多く、見応えあります。
プロが演じるパキータは振り付けもより難しく美しいです。
おわりに
白鳥の湖に代表されるように見応えのあるコール・ド・バレエは、上記で紹介した以外にもたくさん存在しています。
でもバレエ鑑賞初心者の頃は、観に行っても寝てしまっていたんですよね^^;
ただ、舞台鑑賞を重ねていくうちにその素晴らしが理解できるようになりました。
バレエレッスンを続けていたことも理由のひとつです。
なんでプロはあんなに簡単に見えちゃうの?と今でも驚きと称賛をもって見入っています。
もうひとつは、東京バレエ団のジゼル第二幕ウィリーをみたことです。
本当にそろっていて美しかった。
あとで元団員の方にお話を聞く機会がありましたが、やっぱりすごく練習が厳しいそうです・・
ミリ単位で合わせられるということは、それだけ自分の身体をコントロールできているってことですよね。
コール・ド・バレエの魅力は、大勢で造り出す華やかさ、荘厳を感じさせる迫力、整えられた踊りなどさまざまです。
全幕バレエを観るのが好きな理由は、コール・ド・バレエもあるから。
主役以外にもぜひ目を向けてみてくださいね。